蛍石レンズの特徴
1.異常分散による色収差補正
光は水や透明なものに進入すると、進行方向が屈折する性質があります。レンズはその性質を利用し透過する光に焦点を結ばせます。ところが屈折する度合いは、色によって異なり、それぞれの焦点位置が異なってしまいます。これを色収差と呼びます。小さな虫眼鏡では色収差を実感できませんが、大型の望遠レンズなどでは画像がぼけているのが判ります。 蛍石は、光の屈折がガラスとは異なる(異常分散性を示す)ことから、他のガラス材料との組み合わせで色収差をほとんどなくすことができます。この性質を利用して望遠レンズ等で多く使用されています。
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凸レンズ1枚の場合
色によって屈折が異なり、焦点がずれる
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ガラス材料の凸レンズ+凹レンズでは赤と青の焦点は一致するが緑はずれる
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凸レンズ(蛍石)と凹レンズの場合
蛍石と他のガラス材料との組み合わせで色収差をほとんどなくすことができる
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望遠レンズによる色収差のイメージ
2.赤外・紫外線を透過
真空紫外域から赤外域までの幅広い透過波長領域を持ちます。特に高純度化した蛍石は紫外波長での透過性に優れ、紫外線用のレンズや分析装置の窓材などにも利用されています。